「世間」とは何か (講談社現代新書): 阿部 謹也: 本

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タイトルの通りの内容。日本人のよくいう「世間様」とか、「世間に顔向けできない」とか、要するに人の目、その集合の社会の目とは何か。

それで確かに世間とはなんですかね、ということで買った。古本屋にて100円。100円以上の価値は十分にあった。そしてまあまあ、おもしろかった。

以下本書より引用。

日本人は自分の名誉より世間の名誉の方を大事にしているのである。岡本公三が捕らわれたとき、父親は自分の息子を極刑にしてほしいと語ったと言われている。わが子に極刑を望む親がいるだろうか。もしそう言わなければ父親の立場がないからなのである。
私達は皆何らかの世間の中に生きている。その掟を守って生きているのだが、何らかのはずみで世間から後ろ指さされたり、世間に顔向けできなくなることを皆恐れている。私達自身は気がついていないかもしれないが、皆世間に恐れを抱きながら生きているのである。

わが国では、サラ金などから借金をして返せなくなった人が強盗事件を起こすといった種類の犯罪があとを絶たない。「金の無いは首の無いに劣る」などという諺もあり、借金を返せないでいると世間から排除されてしまうことへの恐怖が、こうした行為の背後にはある。

たとえば宝くじが当たった場合を考えてみよう。日本人の場合はほぼ例外なく、当たった人の名前は発表されない。~中略~かつて、一億円を拾って届け、一年後に落とし主が現れなかったためにその一億円を貰えることになった人が、ほっかむりをして隠れるように警察にその金を受け取りに行った~中略~ところがアメリカなどでは、当選者の顔写真が新聞に大きく出て、皆うれしそうに使い道などについて語っている~中略~これも日本人が世間の中で世間の評価を気にしているために起こっている事態なのである。アメリカには、日本のような世間はないのである。

「人間の最大不幸は、其の成功を意識した瞬間から始まる」

引用終わり。

いや、まあまあと書いたが、ぱらぱら読み返してみるとかなりおもしろかった。良い本。

ちなみに岡本公三とは、元日本赤軍メンバーの一人で、「1972年5月30日に奥平剛士、安田安之と共にテルアビブ空港乱射事件を実行し26人を殺害、唯一人逮捕された(奥平、安田は死亡)」(wikipedia参照)だそうである。

とにもかくにも、死ぬまでこの世間という得体の知れない空間の中で生きていかねばならないわけか。

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