ディズニーランドという聖地 (能登路雅子/岩波書店)

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人種のるつぼであり、何の歴史も共通認識もないアメリカ人をひとつにまとめあげる場所。アメリカ人が何に悲しみ何に感動するか、そのすべてここにある。

非常に興味深い本である。ディズニーランドに行ったことはないが。

ディズニーランドに、なぜにあれほど人がひきつけられるのか。また、ディズニーランドの経済波及効果の桁違いのとんでもなさ。

とにかくはおもしろかっかたので、以下そこここを引用!

『クリスチャン・サイエンス・モニター』紙は、ディズニーランドを「アメリカの外交政策の一手段にほぼ匹敵する存在」と評した。

ウォルト・ディズニーの少年時代のわずか半世紀ほど前まで、中西部はアメリカの辺境であった。成功の夢を求めてここに移住してきた開拓者たちは、その想像を絶する苦難の記録を日記や手紙のかたちで残している。納屋から母屋に戻る途中、吹雪で方向感覚を失って凍死することや、地平線の果てから連日のように襲ってくる砂嵐に発狂者が出るといった悲劇は、当時、珍しくなかった。

『白雪姫』を準備中、部下のアニメーターたちが、白雪姫がどうして毒りんごをすんなり食べてしまうのか、合点のいく表現ができないと訴えたとき「そりゃ、魔法のかかったりんごなんだから、当然食べるさ」とこともなげに答えたディズニーのナイーブな感覚こそが、ディズニー作品の精髄をなしているのである。

海賊アトラクションの設計を任されたデザイナーが海賊のイメージ作りのために関連文献を調べたところ、人々が想像するように海戦で雄々しく散った海賊は皆無に近く、ほとんどの海賊たちの死因は港町の売春宿でうつされた性病だったということが判明した。

以上。

ディズニーは子供時代、新聞配達をはじめ過酷な労働を父親に強いられ、子供らしいことをほとんどすることができなかったという。

その失われた幼年時代を取り戻すひとつの方法がディズニーランドという夢の国であったという。

また、先に引用した、アメリカ中西部にあった絶対的な自然の脅威が、完全に安全で清潔な人工的空間を求めたのだともいう。

生い立ちはかくも人格に影響を及ぼす。というか、ディズニーランドではなくディズニー映画が見たくなった。よくよく考えたら、ディズニー映画もひとつも見たことがない気がする。

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