自伝でわかる現代アート (暮沢 剛巳/平凡社)

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内容云々のまえに、まずこの本をアマゾンで購入したのだが、いざ届いてみると画像のような状態であった。

つまり、”自炊”本である。おそらくアマゾンの商品の状態欄にきちんと記載されてあったであろうが、何も確認せずに値段だけ見て買ってしまったぼくのバカである。

というわけで、非常に読みにくかった。注意しないとつまづいたOLが書類をばらまくがごとく、ばっさあ、となってしまうのである。

しかし、内容は非常によい。おもしろい。興味深い。いい本だ、なのに、哀れ自炊で裁断され、バラバラ。それが、悲しい。電子書籍じゃねーよバカヤロー。

さて、ようやくで内容はといいますと、デザイン、建築家、芸術家など、八人の人物を取り上げ、その自伝から作品および時代を考察していくというような内容。

以下、本文より気ままに抜粋。

・かつて小林秀雄は「批評とは他者をダシにして自分自身を語ることだ」という主旨のことを語っていた。

(フランク・ロイド・ライトの自伝より)

・1914年8月15日、ただでさえ低迷していたライトに追い討ちをかけるような出来事が起こる。竣工間もないタリアセンが放火され、メイマと彼女の子供、事務所の所員など計七人が殺害されたのである。犯人は雇われて間もない黒人の使用人だった。犯人は事件を起こした直後に自殺を図って失敗し、逮捕されてからも取り調べに一切応じずに餓死してしまったため、真相は薮の中である。

※タリアセンはライトの自邸。メイマは妻。

(フランク・ロイド・ライトの自伝より)

・「建築家がもっとも建てたい建物は教会と別荘と美術館だ」

(マン・レイの自伝より)

・1957年にパリで開催された個展で「破壊されるべきオブジェ」が壊されたとき、犯人であった若者の起訴に断固として同意せず、「破壊できないオブジェ」とその名を変更した逸話は何にもまして象徴的である。デュシャンにも通底するこの姿勢は、まぎれもなくコンセプチュアルアートの先駆に位置している。

(マン・レイの自伝より:マン・レイに長年連れ添ったジュリエットの言葉)

・記憶にとどめることはたやすいことですが、忘れることはとてもむつかしいものです。そしてマン・レイは忘れられない人なのです。

以上

ほかにもいろいろと付箋を貼っていたのだが、やめた。

最近感傷的なので、ジュリエットの言葉に胸がうずいてしまったので。

忘れられない、こと、もの、ひと。

そういうものは誰にでもあるだろう。いまはもうそれらが自分の手の届かないところに行ってしまっていたとしても、悲しむことではない気がする。忘れられなくてもいい。

無数の記憶、あらゆるしがらみ、そういうすべてを引きずって、引きずり回して、後ろ髪を引かれて、ときに引き抜かれてハゲながらも生きていくのが、たぶん、人生というものだろう。

それはさておき、今年読了の本はこれが最後になるでしょう。来年もまた当ブログ、および新宅睦仁を何卒よろしくお願い申し上げます。来年も百冊は読みます。きっと。いや、必ず。では、良いお年を。