石油がわかれば世界が読める (瀬川 幸一編/朝日新聞出版)

購入価格: 不明

評価:

この記事は約2分4秒で読めます

石油、天然ガス、原子力。とにかくはエネルギーとはなんぞや的な本。

内容については下記の一文に集約されているような気がする。

【現代人は1人平均で狩猟採集時代の人間の約100倍のエネルギーを使用して生活しているといわれている。薪に換算すると年間10トンもの分量になるという。現在の人類が薪や炭で必要エネルギーを賄ったら、世界中の森林は一瞬にして消滅してしまって、環境カタストロフィー(破局)で、直ちに人類は未曽有の危機に見舞われる。現在の世界人口は、自然状態、すなわち狩猟・採集活動で維持できる人口上限の100倍以上ともいわれている。】

つまり、現代社会がどれだけ石油というエネルギーによって成り立っているかということである。逆を言えば、今日の生活は石油なくしてはあり得なかった。そしてこの石油による産業革命はたかだかここ100年ほどの話なのである。

前回の読書感想にも書いたが、ぼくとしてはすべての人に、特に先進諸国の人々に口を酸っぱくして問いたいと思う。原始時代の人類の100倍のエネルギーを使って生きていることの罪悪とか是非とかいう話ではない。ただ、純粋に、狩猟採集で生活していた頃の100倍、我々は幸せになったのかということを、心から問いたい。

もちろん、我々は狩猟採集で生活したことなど生まれてこのかた一度だって無い。しかし、想像することはできる。

人間は倍々ゲームで幸せになってゆけるものなのか? たとえば、今の100倍、金銭面その他で豊かになったとして、今の100倍、毎日を笑って楽しく過ごせるのかということだ。よくよく考えてもみてほしい。

そうなるなら愉快で仕方がない。産めよ増やせよでおおいに結構。しかしどう考えたって、そんなわけはないだろう。そう、そんなわけはないんだと、いまのいまで十分過ぎるのだと、いい加減きづくべきなのだ。

以下、本文より興味深い箇所を抜粋。

世界の穀物生産量は年間約20億トン、これで67億の人口を養っている。この穀物すべてをエタノールにしたとすると、約8億キロリットル(原油換算エネルギーとしては4億トン)となる。一方、世界のエネルギー需要は原油換算で110億トンであり、エネルギーが本気で穀物を奪いに行ったら、全人類は20〜30回ぐらい餓死することになる。

人類のこれまでの長い歴史を仮に1年365日とすると、石油とのかかわりを持ち始めてからの時間は大晦日の半日にすぎず、まして石油の大量消費が始まったのは、大晦日の残り10分余りにすぎないのである。

引用終わり。

別に環境を守ろう云々を叫ぶほどエコロジストでもなし、人にも環境にも優しい人格ではない。

しかしただひとつ、いま以上に豊かな生活が、ほんとうに必要なのだろうかと、単純に疑問なのである。

記事カテゴリー: 読書