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なんか、世間ではわかりやすいと評判のよいらしい本なのだが、どうして、そんなにいいとは思えなかった。
著者はできるかぎり噛み砕いて、それこそタイトル通り「中・高校生」にもわかるように書いたらしいのだが、そして事実そうなのだろうが、やはりわかりにくいと思ってしまった。
たぶん、こんなことを言うと身も蓋もないのかもしれないが、現代アートはもう、作家と評論家、そして一部の熱心なアートファンでもなければ実感として理解し楽しめないところにまできてしまっているのではないだろうか。
たとえとしてはおかしいかもしれないが、オリンピックの水泳において、剃毛したり、水の抵抗云々で水着が問題になったりするが、それと同じで、もはや一般人には、自身の中にある感覚の延長や想像力を働かせるというようなことでは理解のできない、我々がふつう経験する水泳とは似て非なる競技になってしまっているのではないだろうか。
ま、そんな仰々しい問題提起はさておき、作家のわたしにとっては興味深かった記述を覚え書きとして以下にご紹介。
・アド・ラインハートの言葉
「芸術とは、芸術ではないのものではないものである(Art is not what is not)」
正三角形といえば、ふつう思い出されるのはキリスト教でいう三位一体(父、子、聖霊)で、その中に目をひとつ描けば、それはそのまま神の臨在を示すイメージでした。三角形の立体版、四面体は、とくに19世紀の秘密結社のあいだで注目されたものです。
・ウォーホルのブリロボックスでアートの定義がわからなくなった哲学者のアーサー・ダントの論
(それが芸術であるかどうかを)決めるのは、ただのものでも作品でもない、それらを取り囲む状況、つまりダント自身のいう「芸術界」(art world)、具体的には、有力な画商、影響力のある評論家、キュレーター(学芸員)、強力なコレクターなのではないかということです。
・ジョゼフ・コスースの言葉
「芸術とは芸術の定義である」
・フランク・ステラの言葉
「あなたのみているものは、あなたのみているものである(what you see is what you see.)」
以上。
ステラの言葉はミニマル・アートを語るときにかならず引き合いに出される有名な言葉だそうなのだが、いや、ごめん、知らなかったし、どういう意味?
アートをわけわかんねーと言ってる人の気持ちはよくわかる。というか、そりゃそうだ。芸術家はおまえの頭にある価値観か既成概念をひっくり返そうとしてんだから、当たり前といえば当たり前の話。漫才師が客を笑わしたのと同じ。おありがとうござ〜い。