ルポ 貧困大国アメリカ (堤 未果/岩波新書)

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うおぉぉぉぉぉまじでアメリカ糞だなぁぁぁぁぁーーー、と思う本。

いまだに欧米信仰は根強く、まだまだ崩しようもないのだが、それにしてもアメリカという大国の現実はクソすぎる。

医療、保険、労働、貧困、食など、生活というか人間の存在そのものが「自由競争」の名のもとに解き放たれ、それこそ自由かつ豊かなのかと思いきやしっかり腐敗している。

民営化を筆頭に、競争させればよりよいサービス、より優れた製品ができるという事実は確かにあるのだが、しかし、本書にも再々書かれているが、「自由競争に任せてはならない領域」というものが確かに存在するのだと思う。

性善説に従うならば、人間というものはほうっておけば自然と善なる高みへと収斂されていくのかもしれないが、しかし、現実は性善説でもあり性悪説でもあり、そもそも人間とはなんぞや?なのである。

ほうっておけばズルもするし、汚いこともやる。自分のことさえよければと思うことだってママあるだろう。だからこそ、それに歯止めをかけるべき、可能な限り人間の腐った部分を入り込ませない領域を、理性で構築しなければならないと思う。

だらだらと語ってしまったが、以下本文より引用。

家が貧しいと、毎日の食事が安くて料理の簡単なジャンクフード、揚げ物中心になるんです。多くの生徒は家が食料配給切符(貧困ライン以下の家庭に配給される食糧交換クーポン、フードスタンプ)に頼っていますから、この傾向はますます強くなりますね。

2007年現在、アメリカ国内には350万人以上のホームレスがおり、その3人に1人は帰還兵だという。

(帰還兵:イラクなどへ派遣されて帰ってきた人たち。多くは心や身体に大きな障害を抱えている(引用者))

かつてベトナム戦争の時に「戦争でもっとも犠牲になるものは真実だ」という格言を残したのは、「ニューヨーク・タイムズ」紙の記者、デイビッド・ハルバースタムだった。だがイラク戦争において真っ先に犠牲になったもの、それは「ジャーナリズム」だと言えるだろう。

それまで政治になんか興味がなかった連中が、イラクに行ったとたんにいのちの価値を考え始め、間違っていると叫び反戦に立ち上がる。平和な国のマスコミはそんなストーリーを期待するでしょう。でも現実はそうじゃない。貧乏人の黒人が前線に行かされるというのも正しいとは言えません。今は、黒人も白人も男も女も年寄りも若者も、みな同じです。目の前の生活に追いつめられた末に選ばされる選択肢の一つに、戦争があるというだけです。

引用終わり。

この本がどうアメリカの糞を暴いているかを引用すべきだった気もするが、自分としては以上のようなところが特になーむ、あーみ、だーぶ、となった。

とりあえずひとつ思うのは、いついかなる状況でも弱者は存在する。貧しい者も存在する、そして失敗する者も存在する。

それらを切り捨てることは、たぶん簡単だろう(強者の側からすれば)。だけれど、すべての人間がそうだが、人生というのは誰にもわからない。

単純に、誰にだって、板子一枚下は地獄のような世界はあまりにもストレスだし、恐怖に違いない。

安心だとか健全だとか、いやもっと、歯の浮く言葉だが希望の持てる社会というのは、たぶん、そういう弱者を決して切り捨てず大きく当然のこととして内包した社会にしか存在しないのではないか。

この世は人間の世界である。賢も愚も、富も貧もある。なにもかもが対になっているのである。

いくら天高く飛び上がったとしても、地を忘れたならどうなるか。うまいことわざが思い出せないが、結果は見えていると思うのだが。

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