合同会社設立・登記・運営がまるごとわかる本 (「合同会社まるごとわかる本」プロジェクトチーム /日本法令)

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現代、日本のサラリーマンの割合は89%で、自営業者は11%程度(2017年時点)。ほとんどの人が個人事業と法人の違いを知らなくても不思議ではない。
参照:https://studytokyo3.com/saralyman87-startup/

そもそもフリーランスとフリーターを混同するような人が政界にいるような国なので、むしろ当然とも言える。

会社を作るメリット

日本のサラリーマンは毎月給与から自動的に源泉徴収で税金が吸い上げられるため、徴税・納税意識が育たないと言われる。

確かにその通りで、米国では一介のサラリーマンといえども確定申告は必須だ。実際、私は米国で働き確定申告も経験したのだが、いやでも税金に対する関心が高まる。少なくとも、高いか安いかくらいは馬鹿でも感じる

それはともかく、法人化のメリットから考えてみよう。

税制上の優遇です。会社を設立することで経費として計上できる費用の範囲が広がったり、個人事業主よりも過去の赤字を繰り越せる期間が長かったりするケースがあるので、税額を抑えやすくなります。加えて、税率にも違いがあります。個人事業主の所得税はサラリーマンなどと同様に、所得が大きくなるにつれて税率が高くなる累進課税です。対して、法人にかかる法人税は固定税率ですので、所得額が一定額以上のときは、累進課税の所得税よりも低い税率に抑えることができます。また法人は、一般的に、個人事業主の場合よりも銀行や取引先などからの社会的信用を得やすいといわれています。これは、個人の財産と会社の財産が明確に分けられ、会計処理が適切に管理されていると考えられているからです。

彼女か妻/彼氏か夫かの違いに通じるものがある。やはり、正式に届け出て承認されるという面倒くさい手続きを踏むと、社会的に強くなるのだ。

会社の設立、結局いくら?

一昔前、資本金1円でも会社が作れると話題になった。2006年に施行された新会社法によるものだが、しかし、おかしなことに(?)、その会社の設立手続き自体には1円以上かかって、タダではない

婚姻届けがタダであることを考えると、なんだか腑に落ちないのは私だけだろうか。

合同会社と株式会社の設立費用、諸経費の比較図
*上図本書より転載

合同会社の設立でも、最低7万円程度はかかる。高いのか安いのか、微妙なところである。そして以下の通り毎年ランニングコストもかかる。

株式会社では、会社を維持するために1年間あたり最低でも13万円程度かかります。内訳は、決算公告費で6万円程度、法人住民税(均等割)で7万円程度です。 (中略) 合同会社では、決算公告費や定期的な重任登記費が不要のため、法人住民税の7万円程度で済みます。

個人事業をやっている方なら、法人成りした後は、個人の住民税とは別に、法人の分も支払わなければならないというのがポイントである。

法人成りを「虎の威を借る狐」でいうトラのかぶりものと考えるなら――名誉欲や野心のある人なら――高くはない気がするが、どうだろう。

個人事業主には、経営者に対しての給与や退職金という概念がありません。法律でも生活費に対する制約がないため、個人事業主においては、利益が出た場合はそこから個人に対する貸付(事業主貸)として生活費を引き出し、利益が出なかった場合は自分の預貯金からの持ち出し(事業主借)で事業運営をするなど、柔軟な対応も可能です。しかし法人になると、自分への生活費も「法人から個人への給与の支払い」ということになり、他の社員や従業員への給与の支払いと基本的に同じ手続により、支払うことになります。今月は利益が出なかったから給与はなし、翌月に利益が多く出たので前月の分もまとめて支払う、というような考え方はNGとなります。

何か現代アート的な、法人という作品コンセプトのようにも思える。特にひとり法人なら、自分で作った架空の法人から実在の個人である自分自身にお金を払うというのは、ほとんど戯画的な一人芝居ではないだろうか。

法人になると、取引相手が個人の場合、講演料・デザイン料・外注費や、弁護士・公認会計士・税理士・司法書士などへの報酬も、基本的には源泉徴収しなければなりません。たとえば、気軽に頼めるクラウドソーシングなどは、フリーランスの業態が多いので、その料金は、個人に支払う報酬として、源泉徴収しなければならないということです。

とりあえず、法人化すると色々めんどくさくなるというのは、彼氏彼女から家庭を持つとなると、いつかのときめきは雲散霧消し、ごたごたとして所帯じみ、場合によってはこじれて離婚するのと同じであろう。

資本金1円企業の是非

無知蒙昧な私は、資本金といえど、安いなら安いに越したことはないと思っていたが、違うらしい。

資本金の目安
一般的に、起業してから6か月程度の運転資金があると十分といわれています。事業内容によって、必要となる金額は異なります。一例を挙げます。

6ヶ月分の運転資金をベースとする資本金の設定例の画像
*上図本書より転載

6か月分の金額の用意が難しい場合は、3か月分(上記例では約150万円)があるとよいとされることが多いです。

なるほど! 資本金の決め方はそういうものだったのか! と腹落ちした愚かな私は、今年法人化の予定である。

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