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弱小企業が一番やってはいけない集客方法は、大企業の広告手法の縮小版である。あれはマスの力があってこそ効果が出るものであって、スケールダウンすれば、素人のギャンブルのごとく、一瞬でお金が吸い込まれて消えるだけである。
終わらないWEBという幻想
2019年、インターネットによる広告が2兆円を突破し、不動の首位だったテレビ広告費を超えた。
世の中の96.8%は、中小零細企業だといわれていますが、ある意識調査によると中小零細企業の92%が、「効果が実感できるほどのWeb集客ができていない」と感じているというデータがあります。
1991年8月6日、WWW(World Wide Web)の仕組みを考案したティム・バーナーズ=リーが世界初のWebサイトを生み出してから、今年2021年はちょうど30年の節目にあたる。
しかしいまだ、ほとんどの人はうまく使いこなせていない――少なくともビジネスにおいては――のが実情ということであろう。
WEBの広大さを知らない
世界は広いというが、こと商業店舗に関しては、WEBの世界の方がよほど広く、巨大である。
ECモールは確かに膨大な人が集まるショッピングセンターですが、ECモール内に競合店舗が多すぎて、出店しただけでは容易に集客はできないのです。リアルなショッピングセンターに例えると、5000階建ての建物のようなものです。
WEB業界に身をおいて10年以上になるが、正直、身体感覚としてはWEBのサイズ感を理解できていなかった。そこのところにきて、この例えは鮮やかである。
この事実を念頭におけば、並の経営手法や、ちょっとやそっとの広告費をかけたからといって売れるようになるわけがないことが嫌でも理解されるというものだ。
誠実にアピールし続ける
本書の結論は、最近しばしば耳にするコンテンツマーケティングが最強ということである。
これは例えるなら、広大なWEBという大海に、地道に小石を投げ続ければ、いつかは陸ができ、立てるようになるという話だ。
ホームページをリースで売っているところは、「初期費用無料」や「ホームページを無料で作ります」という謳い文句を掲げているところが多いですが、世の中タダほど怖いものはありません。リースで結局総額が高くつく上、所有権がこちらに無いので期間が切れたら再リースを組まなければならなくなってしまいます。
そう、表面的な値段に惑わされず、WEBサイトにこそちゃんとお金をかけるべきなのだ。効果もよくわからない広告に費用を垂れ流している場合ではない。
まずは自社の財産として、内部スタッフが記事を制作したり更新しやすいWEBサイトを用意すること。今であればWordPressが最有力の候補となるだろう。
そのサイトに、2~3ヶ月などというスパンではなく、最低でも半年、できれば2~3年という長期的な視野に立ち、自社商品のアピールをはじめ、関連情報ページ、お客様の声などを掲載する。
とにかくはお客様にとって役立つ有益なコンテンツを作り続けるのだ。
ある飲食店のオーナーは、「外食業界に後から入ってきたにも関わらず、頂点に君臨しているポータルサイトに上納金を払わないといけない気分ですよ。上納金は、予告なく引き上げられたりしますし。いつも、『脱却してやる』と思うのですが、客足の減少が怖くてずるずる続けている状態です。利益の大半持って行かれているんですけどね。」と言っていました。これを聞いて、共感できる掲載店舗の方は非常に多いのではないでしょうか。
コンテンツマーケティングはすぐに効果が出るものではない。特に立ち上げたばかりのWEBサイトは、Googleによるエイジングフィルタ(Aging filter)がかけられるケースがあり、公開後一定期間(3~6ヶ月)は検索結果に表示すらされないのだ。
しかし、この苦しく地道な期間を乗り越えれば(本当にオリジナリティのある有益なコンテンツを作れていればの話だが)、いつかは必ず効果が現れるのがコンテンツマーケティングである。しかも効果は広告と違って無料で永続する。
しかしこの手法、やれば必ず効果の出るダイエット方法に似て、知ったからと言って誰でも簡単にできるものではない。
つまり、向いている人は限られている。追い風にできるのは、誠実で忍耐強い、古典的な努力型人間であろう。たとえば私のような(このブログ記事もコンテンツマーケティングの一貫ですので、あしからず)。