あらゆる領収書は経費で落とせる (大村大次郎/中央公論新社)

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何が経費で何が経費ではないか。これはおそらく、誤解を恐れずに言えば口がうまいか下手かという、ほとんど処世術の域のような気がする。

ただただ税金はやって来る

税金はどこから来てどこへ行くかと言えば、地方自治体と言えなくもないが、やはり親方日の丸であろう。

利益が多すぎると、思った以上に税金がかかってしまいます。企業経営にとって、税金ほどバカバカしい支出はありません。費用対効果がまったく認められないからです。特に、今の日本政府に税金など払っていても、社会の役に立つどころか害を与えるばかりです。税金を払うくらいなら、ほかのことに使ったほうが絶対にいいのです。

税金をしっかり真面目に払いたい、もっと、たくさん払いたいというような人は、あるいは生粋の愛国者と言えるかもしれない。

国があなたの友達や知り合いを知るわけがない

経費の代表といえば、やはり接待交際費であろう。

その飲み食いは、お友達ですか、お仕事ですかという話だが、そんなもの、機械じゃあるまいし、そう簡単に線引きできるものではない。

接待交際費というのは、「企業の業務に関することで、接待交際した費用」のことです。それは取引先に限ったことではありません。将来取引をしてくれるかもしれない相手、業務上の情報を教えてくれそうな相手、自社の社員や下請け業者の人たちにも、接待交際費は使えるのです。かなり広い範囲だといえます。 相手は、取引相手などの特別な人ばかりではなく、普通のサラリーマンであったり、昔からのただの知り合いだったりしても、十分に「接待交際」の対象となりうるのです。普通のサラリーマンでも、自分の会社の業界のことなどには非常に詳しいものです。それはなんらかの形でビジネスに役立てることができるものです。相手の持っている情報と、自分の業務とをうまく関連付ければ、その飲食費は立派に「交際費」として成り立つのです。

社内恋愛を考えてみればよい。打ち合わせ帰りに仕事の相談などしていたら、いつしか恋仲に。どこからが経費で、どこからが私的な支出か、当の本人にもわかるわけがないのである。

それを年に一度、口をきくかどうかという税務署員なんぞに判断できるわけがない。

そう考えると、本書のタイトル『あらゆる領収書は経費で落とせる』というのは、挑発的なようで、その実あたり前のことしか言っていないのではないか。

正直者と税金

自治体や国を運営していく上で、税金が必要だというのは馬鹿でもわかる話である。

しかし、以下のような俗言を聞くと、結局バカを見るのは正直者の庶民かという気にもさせられる。

税務の世界では、「十五三一(とおごおさんぴん)」という俗語があります。これは、サラリーマンの収入は10割捕捉できるけれど、自営業者は5割、農家は3割、政治家は1割しか捕捉できない、という意味です。

とはいえ今後、マイナンバーカードが普及すれば、捕捉率は限りなく100%に近づくかもしれない。それでも現金へそくり、袖の下は永久不滅であろう。

それはともかく、曲がりなりにも会社を経営する者として、このような本を読んでいることをおおっぴらに公言するのもどうかと思わなくもないが、そこはまあ、私の哲学である。つまり、基本的にはなんでも恐れず公表する、否、しなければ気がすまないのだ。

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