2025年、人は「買い物」をしなくなる (望月 智之/クロスメディア・パブリッシング(インプレス))

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確かにネットショッピングは我々の生活を変えた。

しかしもっとも大きなインパクトは、我々に買い物が面倒くさいものだと気がつかせたことではないだろうか。

ほとんどすべてのものは「まあまあ」でいい

服に化粧にサプリメント。誰にでもひとつやふたつはこだわりがあるものだが、逆に言えば、何もかもにこだわっている人は多くない

ネットショッピングは、実店舗に買いに行くより便利だが、慣れてくると、いちいち見て比較するのが面倒になってくる。情報が多すぎるのも、消費者には正直しんどいのだ。そのため最近のECサイトは、「情報をたくさん見せる」のではなく、「すっきりとわかりやすく見せる」傾向にあるといえる。

だからこそ、さっと星の数と評価コメントを流し読み、深く考えることもなく、とりあえずポチるのである。

リアルの買い物が特別になる

かつて飲食店の出前や通販は特別な非日常的な行為、もっと、ひとつのイベントであった。

しかし昨今、日常的な買い物の多くはネットショッピングに集約され始めており、今後もその流れは加速する。そこで起こるのは、リアルな買い物の非日常化である。

実際、現在は多くのハイブランドも、「Unboxing(アンボクシング)」=「届く瞬間、箱を開ける瞬間のユーザー体験」を最も重要視している。そのため「イケてる箱をどうつくるか」ということが新しいテーマにもなっているのだ。私のもとにも、最近、大手ハイブランドから「オンラインショッピングでのユーザー体験を高める」ことを目的とした相談が増えている。

なんとなくでネットショッピングはしても、なんとなくでリアルの買い物はしなくなる。明確な目的意識があって、初めて人は店舗に「わざわざ」「めんどくさくても」足を運ぶのである。

めんどくさいことは絶対やらない

ネットユーザーほど移り気な人種はない。どんなに穏やかな気の長い人でも、ことネットの世界においては平気で2、3秒と経たずに離脱する。

今のネットユーザーは、とにかくいろいろなことを同時にしたい。マルチタスクで動いている。それがいいか悪いかは別として、「それしかできない」という時間を非常に嫌っているのだ。 「それを言ったら、YouTubeにどっぷりと浸かっている状態も同じなのでは?」 そう思われるかもしれないが、同じ動画・配信サービスでも、ユーザーが好きな動画の好きな部分だけを能動的に選んで見ているYouTubeとインターネットテレビとは、大きな違いがある。テレビの視聴者は、いったんチャンネルを選んだら、あとは、言ってしまえば「受け身」で見ているだけだ。だからこそ、何か別のことも同時にしやすい環境でないと、ユーザーはなかなかそれに時間を費やしてくれないのだ。

とにかく現代人は一つのことに集中できない。四六時中なにかに気がとられている。上記のように良いか悪いかはさておき、ビジネスにおいては、そのような正しいユーザー像の認識なくして勝機はない。

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