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タイトルがあんまりだとは思うが、書いてある内容は存外に素晴らしい。
WEBデザイナーに限らず、どのように仕事をするかという生き方指南、啓蒙書としても有用だと思う。
平凡な人はいない
何もかも平凡で、人に誇れるようなものは何もないという人がいる。しかし、どんな平凡な人でも、その人の歩んできた人生は絶対に唯一無二なのだ。
必ずしもスキルや総合力で1番になる必要はありません。条件付き、部分的に1番であればいいのです。もっと言えば、「話しやすい」「優しい」「趣味が合う」という理由で選ばれることもあります。だから、あなたの勝ちパターンを作るのです。
仮にあなたがどうしようもなく平凡だとしても、その平凡は他人にとっては特殊に違いない。
そういう意味では、あなたの存在価値は確かにある。ただし、その価値が換金可能がどうかはまた別の話である。
何を売っているか知らない
ドラッカーは『創造する経営者』において、「企業が売っていると考えるものを顧客が買っていることは稀である」と言っている。
あなたにとって当たり前だと思っていることが、お客さんにとっては唯一無二の魅力に写ることだってあるのです。私の経験上、高度な専門知識で「これはお客さんが喜んでくれるに違いない」と思ったことよりも、何気なくしたサービスの方が、喜んでもらえる確率が高いのです。
これは重々肝に銘じておいた方がいい。聖書にもこうある。『自分が何をしているのか知らないのです。』(ルカによる福音書23:34)
十字架上に磔にされたキリストの最期の言葉だが、その通り、愚民は自分たちがいったい何をしているか分かっていないのである。
フリーランスも人を使わなければならない
せっかくフリーランスになり、自力で仕事を勝ち取ったのに、お金を払って外注を使い、自分の利益を減らすとはこれ如何に。
「自分ができないことを外注化する」ということと、「自分がやるべき仕事以外は外注化する」ということは、似ているようで全く違います。
外注するのは利益を減らすことではなく、増やすことである。この真理を万人にわかりやすく説明してある本書はそれだけでも十分価値がある。
例えば、あなたが10の労力でデザインとコーディングを請け負い、10の成果物を出したとしましょう。
労力の内訳はこうです。
デザインは得意だから労力2
コーディングは苦手だから、労力8
成果物の内訳はこうです。
デザインは得意だから成果は8
コーディングは苦手だから、成果は2
苦手なコーディングで8の労力を使ってもたった2の成果しか出せていないのです。
もしあなたがコーディングは得意だけど、デザインが苦手なパートナーに外注したとしましょう。
労力の内訳はこうです。
デザインは得意だから労力が2
コーディングはパートナーが得意だから、労力は2
成果物の内訳はこうです。デザインは得意だから成果は8
コーディングはパートナーが得意だから、成果は8
結果、二人で4の労力で16の成果を出すことができます。
しかも、1ヶ月でかけられる労力は10だから5つのWebサイトがつくれます。
売上を二人で折半しても売り上げは2.5倍になります。外注はコストではありません。外注したら売り上げが伸びるのです。
*上図本書より転載
この考えは、ふつうのサラリーマンにも非常に有効な考え方だと思う。自分で抱え込んで勝手に連日残業する人のなんと多いことか。
がんばるところを間違えている。残業を評価する社風なんかクソくらえ。気取らず威張らず背負い込まず、適材適所で分担しよう。そしてさっさと家に帰ろう。