UXと理論で作る Webデザイン: デザイナーでなくてもわかる (川合 俊輔 (著), 大本あかね (著), 菊池崇 (著) /WDE Publishing)

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WEB業界の求人で、UI/UXデザイナーという職種が現れてまだ十年も経たない。時期を同じくして、かつてはWEBデザイナー、WEBコーダーといった名称だったのが、フロントエンドエンジニアという言い方がされるようになってきたのは偶然ではないと思う。

UI/UXデザイナーは何をする人か

一言で言えば、ユーザー目線でWEBサイトやアプリを設計する人である。

お弁当と箸のように、状況と物の形などによって操作を理解させることをアフォーダンスと言います。アフォーダンスは、人が頭を使って考えて理解しているのではなく、直感的に感じているケースがほとんどです。歩く時に右足を出して次に左足と考えないのと同じように、UIは頭脳で考えず直感で行動させます。そのため、直感で判断しているアフォーダンスが間違って使われると苛立つことになります。

WEBデザイナーも同じようなものではないかと思われる向きもあろうが、違う。WEBデザイナーとは名称のイメージ通りで、ユーザー目線の親切設計よりも、いかにお洒落でカッコいいかという見た目を主張したがる職種である。

以前話題になった、佐藤可士和氏デザインのセブンイレブンの「コーヒーマシン」を考えてみればわかる。
「コーヒーメーカー デザインの敗北」でのGoogle画像検索結果

しかしユーザーはデザイナーのドヤ顔なんかよりも、単にさっさとコーヒーが飲みたいだけなのだ。あるいはUI/UXデザイナーは、ドヤ感を出さない謙虚なWEBデザイナーだと言ってもいいかもしれない。

モノよりコトの時代

UXはユーザーエクスペリエンス(User eXperience)の略で、直訳すればユーザー体験という意味である。

わかりにくければ、UXとは昔あった車のCMのキャッチフレーズ「モノより思い出」と同じことだと考えればよいと思う。

企業内でUXを正しく理解できていないと、無理やり短期的な数値に目を奪われ、ダークパターンを産んでしまうことがあります。シリコンバレーにある、世界で活躍している有名企業、自動車配車アプリのUberでさえもダークパターンを誕生させてしまったことがあります。 それは、スマートフォンのバッテリーがある一定の量以下であれば、料金が増すというものです。ユーザーはバッテリーがないので、急いで発注しなければならないという心理の裏返しです。これらは2名以上でUberを呼ぼうとするとすぐにバレてしまうことだったので、すぐに問題になり企業イメージを損ねてしまいました。

美麗なビジュアル、豪華なアニメーション、斬新なデザインなんかに頑張ってくれるのはおおいに結構なのだが、ユーザーに言わせれば「それっておいしいの?」という話である。

作り手の自己満足、企業であれば社長のために作られたWEBサイトのなんと多いことか。UXが声高に叫ばれる所以であろう。

そんな中、ヴィジュアル系エアーバンドの ゴールデンボンバーの公式サイトがWikipedia風のデザインになっているのは注目に値する。究極的には、ユーザーは最短距離で欲しい情報を得たいだけなのだ。

デザインのことは忘れよう

高級ブランドのイメージ戦略、ブランディングなどという場合を除いては、へたにデザイン方面にエネルギーを注ぐよりも、愚直にユーザー目線で、シンプルで使いやすく、迷わない、少なくともイライラしないサイト設計を目指すべきではないだろうか。

デザイナーのmassimo vignelli(マッシモ・ヴィネッリ)は、複数のフォントを混ぜると逆に邪魔になるということを唱えsuper sixと呼ばれる6つのみのfont-familyを好んでデザインに利用しました。

以下の『Garamond、Bodoni、Century Expanded、Futura、Times Roman、Helvetica』の6種類である。

デザイナーのmassimo vignelli(マッシモ・ヴィネッリ)font-family super six*上図本書より転載

選択肢を絞るというのは、何につけても選択肢の多すぎる現代において非常に有効なアプローチだろう。

UXデザインでは、以下の6つの工程に分けられています。英語で表記すると全てDから始まる言葉のため「6D」と言われています。
1. 調査(Discover)
2. 定義(Define)
3. デザイン(Design)
4. 開発(Develop)
5. デプロイ(Deploy)
6. 運用(Drive)

何より調査である。まずは冷静かつ的確に自己分析することから始めよう。これは個人でも企業でも同じである。すべての改革は現状認識から始まる

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