IT全史――情報技術の250年を読む (中野明 /祥伝社)

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もはや昔からずっとあったかのように日々使っているインターネットであるが、その歴史はまだ数十年に過ぎない。

その歴史を辿ると、200年ほど前にフランスで生まれた腕木通信に行き当たる。そこにはプロトコル(通信における送受信の手順などを定めた規格)があり、間違いなくインターネットというものの原型を見出すことができる。

産業革命以前の社会では、人々は驚くほど狭い範囲で生きていたという。アルビン・トフラーは歴史家J・R・ヘイルの言葉を引いて「大多数の人が経験した旅は、一生のうちでもっとも長いものでも、平均すれば一五マイルどまりと見てさしつかえないであろう」と著作『第三の波』で記している。 15マイルとは24kmのことだから、これは旅というよりも隣街を訪問するレベルと言えよう。日々の生活が徒歩圏で営まれるとしたら情報の伝達

2500年前のギリシア時代、すでにノン・ハンドヘルド・メディアによる通信の記録がある。一つは「のろし通信」で紀元前458年に書かれた戯曲『アガメムノン』に、トロイが陥落した情報をミュケナイまでのろし通信で知らせたという記述がある。のろしは複数の山々を経由してバケツリレー式に伝わり、その距離は520kmに及んだという。ただし送信できるメッセージは「のろしが上がる =戦に勝利」程度の単純なものでしかなかった。

腕木通信の信号は完全に露出しているから誰でも見ることはできる。しかし92ページ92行のコードブックを所有しているのは限られた人物だけだった。腕木通信基地に詰めている通信手でさえコードブックは持っておらず、ために信号の意味を知らなかった。通信手は望遠鏡で認めた腕木の信号をそのままそっくり複製する作業を繰り返す。もちろん、どのようなメッセージを送信しているのかは、彼ら自身も皆目見当がつかなかった。通信手さえこのような状況だったから、一般の人が「かぶと虫の足」のように動く腕木通信の信号の意味など知るよしもなかった。そういう意味でやはり腕木通信も一種の暗号通信だった

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